
プロダクトバックログとプロダクトゴールを学ぶよ!
作成物と「確約」の対応関係はここから始まるよ。
プロダクトの唯一の作業リストであるプロダクトバックログと、その確約であるプロダクトゴール、リファインメントと見積りの責任について解説します。
作成物と確約の全体像
この章で学ぶ3つの作成物と、対応する確約(コミットメント)の全体像です。詳細は 4.2〜4.3 の各節でも解説します。
| 作成物 | 確約(コミットメント) | 管理・更新の主体 | 試験で問われるポイント |
|---|---|---|---|
| プロダクトバックログ | プロダクトゴール | プロダクトオーナー(作業は委任可、最終責任は委任不可) | 唯一の情報源。創発的で「完成」しない。並び順はプロダクトオーナーの判断 |
| スプリントバックログ | スプリントゴール | 開発者(開発者による開発者のための計画) | スプリント中に更新され、大きくなり得る。ゴールは固定・スコープは交渉可能 |
| インクリメント | 完成の定義 | 開発者が完成の定義に準拠して作成 | 完成の定義を満たさない作業はインクリメントではない。リリースは義務ではないが利用可能にする |
スクラムの作成物と確約
- スクラムの作成物は、作業や価値を表しており、重要な情報の透明性を最大化できるように設計されている。作成物を検査する人は、適応するときと同じ基準を持つ。
- 各作成物には、透明性と集中を高める情報を提供する確約(コミットメント)が含まれており、これにより進捗を測定できる。作成物と確約の対応は、章冒頭の表を参照。
- これらの確約は、スクラムチームとステークホルダーの経験主義とスクラムの価値基準を強化するために存在する。
プロダクトバックログの特徴
- プロダクトバックログ(Product Backlog): 創発的かつ順番に並べられた、プロダクトの改善に必要なものの一覧。スクラムチームが行う作業の唯一の情報源である。
- 開発者が行うすべての作業は、最終的にプロダクトバックログに由来する。
- プロダクトバックログに「完成」はない。プロダクトが存在する限り、学習や市場の変化に応じて進化し続ける創発的な作成物である。
- 並び順はプロダクトオーナーが最も適切と判断した順番で決まる。価値、リスク、依存関係などを考慮するが、機械的なルール(サイズ順など)は定められていない。
リファインメントと見積り
- リファインメント(Refinement): プロダクトバックログアイテムがより小さく詳細になるように、分割および定義をする活動。説明・並び順・サイズなどの詳細を追加するための継続的な活動であり、正式なイベントではない。
- スプリント内でスクラムチームが完成できるプロダクトバックログアイテムは、スプリントプランニングのときには選択の準備ができている状態にあり、通常はリファインメントを通じてこの透明性を獲得する。
- 作業を行う開発者が、その作業規模(サイズ)の評価に責任を持つ。プロダクトオーナーは、開発者がトレードオフを理解して選択できるように支援することはできるが、見積りを決めるのは開発者である。
確約: プロダクトゴール
- プロダクトゴール(Product Goal): プロダクトの将来の状態を表すものであり、スクラムチームの計画のターゲットとなる。プロダクトゴールはプロダクトバックログに含まれる。
- プロダクトバックログの残りの部分は、プロダクトゴールを達成する「何か(what)」を定義するものである。
- プロダクトゴールはスクラムチームの長期的な目標である。次の目標に移る前に、スクラムチームはひとつの目標を達成(または放棄)しなければならない。同時に複数のプロダクトゴールを追わない。
試験対策ポイント
- 3つの作成物と3つの確約の対応(プロダクトバックログ=プロダクトゴール、スプリントバックログ=スプリントゴール、インクリメント=完成の定義)は最頻出。確約はスクラムガイド2020年版で導入された。
- プロダクトバックログは「唯一の情報源」。複数のバックログや、バックログ外の作業指示を認める選択肢は誤り。
- 並び順の最終決定権はプロダクトオーナー。サイズの見積り責任は開発者。この責任の分担を入れ替えたひっかけが多い。
- リファインメントはイベントではなく継続的な活動。タイムボックスも定められていない。
- プロダクトゴールは一度にひとつ。「達成または放棄」してから次に移る。
関連模擬問題
【問1】
質問: プロダクトバックログは次のことに基づいて並び替えられます。
選択肢:
- A. アイテムはランダムに配置される
- B. プロダクトオーナーがもっとも適切と判断した順番
- C. リスク。よりリスクの低いアイテムが上位に、よりリスクの高いアイテムが下位に並べられる
- D. 上から順に、価値の低いものから順番で並べられる
- E. サイズ。小さいアイテムが上位に、大きいアイテムが下位に並べられる
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正解は B です。
解説: プロダクトオーナーは、効果的なプロダクトバックログ管理に責任を持ちます。プロダクトバックログは創発的かつ順番に並べられた一覧であり、その並び順を決めるのはプロダクトオーナーです。特定の機械的ルールは定められていません。
【問2】
質問: プロダクトバックログアイテムのサイズ(作業規模)を見積もる責任は誰にありますか。
選択肢:
- A. プロダクトオーナー
- B. スクラムマスター
- C. 作業を行う開発者
- D. 外部の専門家
回答と解説を見る
正解は C です。
解説: 作業を行う開発者が、その作業規模の評価に責任を持ちます。開発者がトレードオフを理解して選択できるように、プロダクトオーナーが開発者を支援することもできますが、見積りの責任は開発者にあります。